ローカルミュージックの可能性
先日、
北海道の音楽シーンの現状とこれから~創造都市さっぽろトークイベント
http://www.sapporo6h.com/wordpress/event/8663/
というイベントの様子を見てきました。
札幌を拠点に活動している音楽ビジネスの関係者たちをパネラーに招いた、「ローカルミュージックビジネスの可能性一歩手前くらい」のお話が聞けました。
結論から言うと「地元でいい音楽やってる人がいるので、聞いてみてください。音楽の地産地消をしましょう」という方向です。
広く音楽業界で括っても、制作ディレクター、ラジオディレクター、新人発掘、プロモーター、ライブハウススタッフ、イベンター、ミュージシャンなどこの日のパネラー達が一同に会することは珍しいことのようなので、そういう意味で一石なのかな。とは思いましたが、正直、最終的に出てきたものはあまり代わり映えしないものでした。
最後にQ&Aコーナーがあったのですが、案の定、言うべきタイミングで自分の話が出来なかったので、備忘録も兼ねて自分の発想をまとめておこうと思います。
【僕とローカルミュージックとの関係性】
まず、僕のローカルミュージックとの関わりを整理しておきます。
札幌ライブハウス関係の最も初めの関わりは、高校生の時友人がバンドを始めてライブをやるということで呼ばれたときに遡ります。二十四軒に割と広めのライブハウスがありました。ガランとした会場に5人くらい客が居て、待ち時間が長いのと実際始まっても興奮する訳でもないので、終始地べたに座っていた記憶があります。(この一連の流れは極めて重要なポイントだと思います)
それから時が経ち、東京で映像業界に入ろうとするもとんぼ返りしてきた僕に、ある友人が出来ます。長いこと共通の知人を通して存在は知っていたのですが、彼が札幌を舞台に映画を撮りたいというので、お手伝いをすることになりようやく知り合うこととなりました。それが南出惇介監督です。(自主制作映画「ドクガス」http://film.artful.jp/dokugasu/)
彼は音楽が好きで、その時既に地元のライブハウスやミュージシャンに精通しているようでした。そしてその映画の関係で僕はライブハウスに再び足を踏み入れることとなり、そこで出逢ったのがAddictionというバンドでした。僕は彼らの音楽とパフォーマンスに魅了されました。思わず、持っていたコンデジで彼らの写真を撮りました。ここから、僕の撮影者としての関わりが始まったのです。大学2年の冬のことでした。
ほどなくして、同じ大学の大学生バンドなどのライブにも行くようになりました。その度にやはり、コンデジで写真を撮っていました。そうすると、徐々にカメラとの意思疎通が出来ないということにストレスが溜まってきます。毎回イライラしながらも、たまに撮れる良さげなショットを友人バンドにあげたりしていました。
そんな折、南出監督がまた短編映画を撮んだと話を持ってきました。断る理由もなく、二つ返事で参加を決めます。(自主制作映画「Cheap Escape in Nowhere」http://film.artful.jp/cheapescape/)
札幌から根室までのちょっとした逃避行ロードムービーなので、(確か2泊3日で)根室まで撮影と移動を繰り返しました。そこで、僕はデジタル一眼レフと出会いました。同じくスタッフで入っていたスチル担当の女の子のカメラを借りて、いろいろ撮らせてもらいました。若干、仕事を奪っていたというか、ほぼ自分の仕事を放棄していたかも...まぁ、それくらい一眼だとストレスレスで撮れるんだ〜という気付きに喜んでいたのです。
帰ると、すぐさまデジイチを購入しました。ライブカメラマンの第二章です。
コンデジからデジイチに持ち替え、より積極的にミュージシャンのステージを撮り出しました。知り合いのブッキングライブに行っては、知らない対バンのバンドに声をかけ、撮らせてもらいました。ライブハウスに行く機会が増え、ミュージシャンやカメラマン、ライブハウスのスタッフや常連のお客さんとも知り合いました。その辺は僕の過去ブログで振り返りましょうか。(「A dreamer meets」http://shimibo.exblog.jp/)
という訳で、僕のカメラマンとミュージシャン、カメラマンとライブハウス、カメラマンとプロモーター、カメラマンとオーディエンス、カメラマンとローカルミュージックという立ち位置が出来上がってきました。
はい。初めまして。
札幌を拠点にライブのステージやフェスのフィールドなどで写真を撮っております。清水隆利です。
【ライブハウスに通ってみて】
僕の悪い癖で、「現状の様々な事象に対してそこには問題点があり、それを改善した方がいい」という見方をよく世の中に対してしてしまうのですが、このローカルミュージックシーンも例外ではありませんでした。お節介だとは重々承知していますが、自分のことは棚に上げといて他所のことをとやかく言ってしまうのです。以下、その点ご了承の上読んで頂けると幸いです。あしからず。
さて、僕が機材をアップグレードさせてから、いろいろなバンドに出会いました。みんな好きなバンドばかりなのですが、その中でも変わったお付き合いをさせてもらっているバンドが二つあります。
もう解散してしまいましたが、Addictionの東京遠征のライブをよく見ていました。たまたま僕の東京滞在のスケジュールと被ったりしていたから行けたのですが、フットワーク軽く見させることに成功したかもしれません。本当に奇遇がいくつか重なり、とてもいい経験になりました。「(地元のライブのように)目の前で写真撮ってくれたから(アウェーでも)ちょっと落ち着いてやれた」と言ってもらったときには、本当に嬉しかったです。そして、地元(ホーム)と地方(アウェー)でのライブの違いについて考えるようになりました。
もうひとつは、THE武田組というバンドです。こちらは自腹でツアーに同行し遠征先でのライブを見ているのです。これはカメラマンとしてではなく(もちろん、バンド側からはカメラマンとして認識してもらっているので、写真も撮りますが)いちファンとしての方が大きいです。僕の知る限り、ここまでするファンは札幌ローカルミュージック界においては中々いないと思います。
逆に、地元でのライブはほとんど行かなくなりました。
それはなぜでしょうか。
【ローカルミュージックに対して感じていることとそれから】
では、ようやくここからが本題です。
これまで長々と並べてきた前置き期間の間に、ローカルミュージック環境に対していくつか気付くところ、思うところがいろいろ溜まってきました。
それは、
新しい時代なのに、若いミュージシャンたちは(憧れ故か)古いロールモデルばかり目指そうとする。
新しい時代なのに、若いミュージシャンを売り出そうという若いプロデューサーがなかなか生まれてこない。
一つのライブに多くの知り合いがブッキングされていると、誰にチケット代を払えばいいかわからない(知り合い全組で割って渡したいがそういうシステムがないので面倒くさい)。
一つのライブに多くの知り合いがブッキングされていると、客も知り合いばかりで内輪感満載。
音源の制作をそれへのプロモーション費を含めて考えられない。
プロとアマなどミュージシャンの身分やレベルの認識を会場(ライブハウス)の違いで判断出来ない。
代表的にこんな感じです。
そんな現状(問題点)を踏まえて僕の中では、まず「成功の新しいロールモデル」の打ち立てとそれによって芽生える「セルフマネジメント意欲」が改善策と波及効果として見立てられるのではないかと考えました。
まず、ミュージシャンとしての成功とは何か。
生涯無理なく歌い続けるのか、音楽をすることで稼ぎ暮らしていきたいのか。それは目的によって変わりますが、前者は勝手にやっていけばいいので、後者のことについて考えていきます。
簡単に言えば、どれだけ金が集まるか。ですよね。無理なく生活できるくらいの金を自分の音楽で集めればいい訳です。極端に言えば、一人大金持ちのパトロンを見つければいいのです。が、ステージに立った時に売上は充分でも目の前にいるのはその金持ち一人だけでいいのでしょうか?違いますよね。超満員の観客が居て欲しい。では、強力な支持母体をバックにつければいい?政治団体や宗教団体に属すればCDなんて飛ぶように売れるかも!?いや、それも違う。となったときに、「メジャーデビュー」も出てくるのですが、これも大資本(金と人)を投入して制作、プロモーションをしてそれ以上稼ぐというだけで、考え方によっては余計に絡んでくる人が増えただけ、昔程ユーザが付いて来ないなんてことになりかねません。
では、どうするか。
僕は「ファンクラブ」を作ればいいと思いました。
ファンクラブと言っても、年会費を払って年に一冊リーフレットが届くようなものではありません。
基本的にはWEBサイトベースで考えています。
地産地消のフィールドでライブ活動し、ファンをある程度獲得したバンドが登録します。また、そのバンドを応援したいオーディエンスも登録します。
そして、旅に出ます!
バンドとオーディエンスが一緒にツアーに出るのです!
アウェーのライブハウスに乗り込んで大暴れです!
Grouponやぽんぱれ、LCCの登場により可能になった仕組みです。
ここに登録して興行ができることが、ミュージシャンにとって一つの成功印になるのです。
オーディエンスには休日との兼ね合いも出て来てしまいますが、日本全国、世界各国への旅行と好きなバンドのライブ、新しい音楽との出会い。それが一気に得られる休日が続くのです。
アウェーの地にはいわゆる観光マネーが落ち、ライブハウスにも集客確保できます。
ファンクラブマージンとしてちょっと上乗せした分がバンドに入ります。
ファンが付くバンドはツアーに出ることで暮らして行けるのです!
もちろん、札幌から出て行くばかりではありません。当然、他の地方から札幌にやってくることでしょう!
更に、ファンクラブ会員には、ディストリビューションの宿題が課されます。ツアー先で出会ったいい音楽を帰って来てから地元の人に広めましょう!アウェーの地に自分のファンがいるなんてどれだけ嬉しいことか!
5人バンドに120人ファンがいて月4でツアーに出ると成立するんじゃないかなぁ。
問題は、ローカルミュージシャンのファンは複数のミュージシャンのファンであるケースが多いということですね。出発地が別々でも組み立てが可能であればできそうな気もします。
これで僕の懸念事項はクリアされ、経済は回り、いいことばかりじゃないっすか?
Groupon、ぽんぱれ、各航空会社の皆さん、よろしくお願いします!
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